Abstract

副腎海綿状血管腫は比較的まれな腫瘍であり,本邦では63例の報告があるが,腫瘍内出血を契機に著明な胸水貯留をきたし,摘出術が必要となった症例は報告がない.症例は38歳,男性.3日前から出現した背部痛により体動困難となり,救急要請となる.CT・MRIにて右腎の頭側に肝臓を圧排するように8.5cm大の腫瘤性病変を認め,多量の胸水貯留を伴っていた.右副腎腫瘍の腫瘍内出血が疑われ入院となった.保存的治療で炎症性胸水は軽快し,20病日目に右肋骨弓下切開にて右副腎腫瘍摘除術を行った.摘出標本は最大径8cmで,一部石灰化した被膜を有し,割面は暗褐色から淡茶色で,出血を伴う脆い腫瘍であり,病理組織診断は副腎海綿状血管腫であった.副腎血管腫はほとんどが非機能性の良性腫瘍であるが,悪性の報告も2例認められた.サイズの大きい症例は副腎癌との鑑別が必要であり,出血や破裂の危険もあるため摘出が望ましい.

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