Abstract
症例は82歳女性.意識障害(JCS II-10),右片麻痺,失語を認め当院に救急搬送された.頭部MRI検査で左中大脳動脈領域に急性期脳梗塞を認め,発症3時間以内であったためt-PA療法を施行された.同日施行した心エコー検査で左房内に径55×23 mmの可動性のある腫瘤を認めた.緊急での腫瘤摘出も検討したが梗塞巣が左大脳半球の広範囲に及んでいたため,数日間経過観察する方針とした.発症4日目の頭部CT検査で同部位に出血性梗塞,頭部MRI検査で左大脳半球に新規梗塞巣を認めた.意識レベルや失語は改善傾向であったため,手術当日に頭部CT検査で出血巣の拡大がないことを確認し,発症5日目に腫瘤摘出術を体外循環下に施行し,術後脳合併症の併発なく退院した.左房粘液腫は心原性脳梗塞をきたすため発見早期に外科的切除を行う必要があるが,脳梗塞発症急性期には人工心肺使用による出血性梗塞の危険があるため,手術を行う時期を決定するのに難渋する.本症例では広範囲脳梗塞発症後に出血性梗塞をきたしていたものの,①神経学的所見の悪化を認めなかったこと,②発症4日目の頭部MRI検査で新たに梗塞巣を認め,致死的な梗塞を再度きたす可能性があったこと,③手術当日に再度頭部CT検査を行い,出血巣の拡大を認めなかったことから脳梗塞発症急性期の開心術に踏み切り良好な結果を得たため,文献的考察を加えて報告する.
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