Abstract

石綿肺は,石綿を大量に吸入することによって発生する職業性の疾患であり,石綿肺癌は石綿肺を背景として生じる肺癌である.今回我々は,長期生存を得ている,画像上石綿肺所見を示さなかった石綿肺癌の1切除例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は,50年間の左官工の職業歴,並びに40年の喫煙歴がある65歳男性で,高血圧にて近医にて経過観察中に胸部X線写真にて胸部異常陰影を指摘された.胸部CTにて右肺下葉に直径3 cmのスリガラス様陰影を認め,横隔膜上に胸膜プラークの存在も指摘された.気管支鏡検査にて確定診断が得られず,CTガイド下針生検を施行したところ,乳頭状腺癌の診断を得たため,リンパ節郭清を伴う右肺下葉切除術を施行した.病理組織学的検査では肺線維化所見並びに石綿小体を認め,アスベスト関連肺癌と診断された.現在術後7年を経過しているが,再発等の所見は認められていない.

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