メルケル細胞癌の1例

Abstract

自然消退傾向を示したメルケル細胞癌の1例を報告した。症例68歳女。2003年12月頃, 右頬部に米粒大の自覚症状を欠く常色調の小結節が出現。2004年3月当科初診。初診時, 光沢を有し, 紅色調でドーム状に隆起する小指頭大結節が認められた。生検組織では表皮直下から脂肪織にかけて, 繊細な核網を有し円形の核を持つ異型細胞の増殖が認められた。異型細胞はS100蛋白, Synaptophysin, Chromogranin A, Keratin陽性, 電顕検査にて細胞質に有芯顆粒が認められ, Merkel細胞癌と診断した。生検から1ヵ月後の拡大切除時には, 臨床的に生検時の癩痕を認めるのみであった。組織HE染色像でも真皮内にリンパ球の密な浸潤を認めその中に変性した腫瘍細胞塊が散見された。生検時には組織学的に腫瘍は残存しており, 腫瘍細胞が自然消退したものと考えられた。