Abstract

要旨重症頭部外傷では頭蓋内圧制御は生命・機能予後に強い影響を与える。標準治療に反応のない難治性の頭蓋内圧上昇は予後不良の徴候であり,さらなる治療介入として内減圧術が選択されることがある。今回2度の開頭血腫除去+減圧開頭術と内科治療に反応しなかった症例に対して,優位半球の頭頂葉・側頭葉の内減圧術を行い良好な転帰を得た。9歳の男児,乗用車に接触し受傷した。病院到着時瞳孔散大,対光反射は両側消失し,CTでは肺挫傷,血気胸,肝,右腎,右副腎損傷に加え,左急性硬膜下血腫,脳ヘルニア徴候を認めた。緊急開頭血腫除去術と減圧開頭術を施行し瞳孔所見は改善した。ICUに入室し頭蓋内圧センサー挿入,バルビツレート昏睡療法,浸透圧療法,平温療法を開始した。入室後,肝,右腎,右副腎からの出血が増悪し,動脈塞栓術を施行した。その後左急性硬膜下血腫が増大し,再度開頭血腫除去と減圧開頭を施行した。術後も瞳孔不同,頭蓋内圧亢進が持続したため,頭頂葉・左側頭葉の内減圧術を施行した。術後は頭蓋内圧20mmHg以下となり,意識は徐々に改善した。第15病日にICUを退室した。右上肢麻痺は残るが独歩可能,日常会話も可能となったため,第155病日に退院し,復学した。局所性脳損傷で内科的治療や減圧開頭で制御できない脳圧亢進が持続する場合は内減圧術を検討すべきである。

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