外傷性肋骨骨折に対し超音波ガイド下持続椎弓後面ブロックにて疼痛管理を行った1症例(Continuous ultrasound–guided retrolaminar block for pain management in a patient with traumatic rib fractures)

Abstract

要旨 外傷性肋骨骨折に対し，持続椎弓後面ブロック（retrolaminar block: RLB）にて疼痛管理を施行した症例を経験したので報告する。48歳の女性。身長159cm，体重50kg。外傷性左第4–7肋骨骨折に対し椎弓後面ブロックを施行した。超音波ガイド下にTh4–5椎弓後面に1%リドカインと0.75%ロピバカイン（ROP）の混合液20mLを注入後，薬液でできたスペースにX線不透過性カテーテルを挿入留置し，0.2% ROP持続投与を開始した。ブロック前後で，安静時NRSは3/10から0/10へ，体動時NRSは8/10から2/10へ低下した。ROP持続注入はブロック施行後4日まで継続し，安静時のNRSは3/10以下で管理することが可能であった。持続RLBを行う際には，超音波ガイド下にてカテーテルを留置し，胸部X線写真にてカテーテル位置確認することで，良好な疼痛管理を行えると考えられる。超音波ガイド下RLBは簡便であり，硬膜外鎮痛方法に比べ重篤な合併症が少ないことから，胸部外傷に対する鎮痛方法の選択肢の一つとして考えられる。