Abstract

要旨 多発肋骨骨折でしばしば見られる奇異呼吸は,肺内でペンデルフト現象を生じることがあり換気効率を低下させる。我々は,多発肋骨骨折患者に電気インピーダンストモグラフィー(以下EIT)を使用して,経鼻高流量酸素療法(以下NHFT)と非侵襲的陽圧換気(以下NPPV)による肺内の換気分布状態を観察し,ペンデルフト現象を軽減する適切な呼吸サポートを模索した症例を経験したので報告する。症例は交通事故による多発肋骨骨折で奇異呼吸を呈した77歳の女性で,NHFT(FiO2 0.45,流量20,40,60L/min),ベンチュリーマスク(FiO2 0.5,流量12L/min),NPPV(顔マスク,S/Tモード,FiO2 0.45,EPAP 4cmH2O,IPAP 7,9,12cmH2O)の使用下でEITにて換気状態を評価した。各条件下で呼気相に腹側の含気が増えるペンデルフト現象が生じていたが,NHFTでは高流量時に,NPPVではIPAPの設定とは関係なくベンチュリーマスク装着時と比してペンデルフト現象が軽減されていた。結果として,ペンデルフト現象の改善には胸腔内陽圧の影響が大きいことが示唆され,本症例においてはNPPVによる呼吸補助が適していると考えられたためにNPPVによる管理を継続し,その後順調に呼吸状態が改善し生存退院に至った。

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