Abstract

要旨 症例は75歳女性。右下腿の疼痛,発赤を主訴に近医受診しcomputed tomography(CT)検査を施行され,右後腹膜膿瘍および右下腿蜂窩織炎の診断で当院に救急搬送された。来院時,右鼠径部から下腿にかけて握雪感を伴う発赤および疼痛を認めたが,腹部所見は認めなかった。造影CTでは回盲部に腫瘍性病変を認め,腫瘍から連続し右腸腰筋周囲から下腿までガスを伴う膿瘍形成を認めた。盲腸癌の後腹膜穿通による下肢ガス壊疽の診断で同日緊急手術を行った。術中,結腸回盲部に腫瘤性病変を認めた。後腹膜への癒着が強く,剥離すると腫瘍は自壊し後腹膜側に穿通しており,腸腰筋周囲に多量の便を認めた。回盲部切除および右鼠径部,右大腿,右下腿のドレナージ術も同時に行った。術後3度の右下肢のデブリードマンを要した。その後縫合不全などの合併症なく,第79病日に退院となった。稀ではあるが,下肢ガス壊疽の原因として癌による後腹膜腔への穿通も考慮する必要がある。

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