Abstract

要旨症例は53歳の男性。昼食後に左側腹部痛が出現して救急外来を受診した。腹部は圧痛を認めるものの,筋性防御や反跳痛などの腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CT検査で多発する小腸憩室を認め,一部の空腸憩室周囲の脂肪織濃度上昇と腸間膜内の憩室外にガス像を認めたため,空腸憩室炎の穿通と診断した。腹部所見が限局していたため抗菌薬による保存的加療を行い,第4病日に食事再開して症状増悪を認めず,第8病日に自宅退院した。空腸憩室炎は大腸憩室炎に比べて稀であるが穿孔症例の死亡率は高く,穿孔や膿瘍形成症例は手術を推奨されている。穿通や膿瘍形成が限局している空腸憩室穿孔症例において保存的加療の報告が少ないながら認められる。慎重な症例選択とCT検査による厳重な経過観察のもとで手術回避できる症例が存在することが示唆された1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。

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