Abstract

要旨症例は72歳の女性。既往に壊死性大腸炎にて大腸全摘術。前日からの嘔吐,意識障害のため救急搬送された。画像検査で小腸の全体的な拡張,右側腹部の小腸壁の造影不良を認めた。搬入時よりショック状態であり,血液検査ではアシドーシスと凝固障害を認めた。非閉塞性腸管虚血症,敗血症性ショックと診断してdamage control surgeryを含む集学的加療の方針とした。初回手術では,人工肛門から口側100cmの範囲でまだら状に色調不良を呈していたため同部位を切除し,術後に上腸間膜動脈から血管拡張薬療法を施行した。2回目の手術でさらに切除断端より口側80cmを追加切除した。また,十二指腸に色調不良を認めたため,術後に総肝動脈造影を施行したところ十二指腸壁の部分的描出不良を確認し,総肝動脈に対して選択的血管拡張薬動注療法を追加した。第5病日より循環動態が安定し,昇圧剤は終了とした。第18病日から経管栄養を開始,第125病日にリハビリ目的で転院となった。十二指腸を含む広範囲非閉塞性腸管虚血であり,また重篤な基礎疾患を有していたが,ダメージコントロール戦略を用いた手術と選択的血管拡張薬動注療法を組み合わせることで救命しえた症例を経験したため,報告する。

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