Abstract

要旨症例は患者が飼育中のアマゾン産淡水エイPotamotrygon leopoldiの水替え中に手背を刺されて来院したもので,刺傷後から疼痛が激しく,創部の洗浄と消毒に加え,海産エイ毒の解毒方法に準じて40℃の湯に創部を浸漬したところ,疼痛の軽減を図ることができた。その後,疼痛が数日の間は継続したが,広範な壊死を来すことはなく細菌感染などの併発もなく治癒した。エイ毒は複数の蛋白毒で構成され,疼痛・腫脹・壊死を来すほか,ショック症状・呼吸困難を来し,ときに死に至ることもある。一部の海産タンパク毒と同様に高温に弱く,患部を温水に浸漬することで症状を軽減できるといわれるが,種差・性差・成熟度による毒性・毒量を含めて不明な点が多い。本邦では淡水エイによる刺傷の報告が少なく,今回の症例のように後遺症を認めずに治癒する症例がある一方で,後遺症や手術を要した症例も報告されている。淡水エイの毒性については不確定なことが多く,症例および治療経験の蓄積が重要であると考えられた。

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