Abstract

要旨再生医療は,脊髄損傷の有望な治療法として浮上してきている。本邦では2019年2月に自己骨髄間葉系細胞投与に保険が適応された。今回,頸髄損傷の患者に対して早期の固定術と早期からのmechanical insufflation–exsufflation(MI–E)の使用と再生医療を実施した症例を経験したため報告する。14歳の女児。遊具からの転落により後頸部を強打して受傷30分後に来院した。精査の結果,麻痺を伴う第5,6頸椎脱臼骨折を認めたため,同日に非観血的整復術を施行したが困難であり観血的整復術を施行した。第3病日に抜管したが咳嗽力が低下していたため第4病日からMI–Eを用いてリハビリを開始した。その後,再生医療を受けるため第14病日に北海道へ転院した。入院期間中にはステロイドは一切使用しなかった。急性期頸髄損傷に対する治療方針は変わり大量ステロイドの有用性は乏しく,急性期手術と早期リハビリが合併症を減少させている。新たな治療として再生医療も行われている。救急医としてはこれらを認識して初期治療を行うことが重要である。

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