Abstract

要旨 80歳の女性。自殺目的にアルカリ製剤を服用し心窩部痛を主訴に来院した。computed tomography(CT)で下部食道壁半周の壁欠損と縦隔内遊離ガスと液体貯留を認めた。腐食性食道炎,食道穿孔と診断し,食道下部の減圧・吸引目的に経鼻胃管を留置,絶飲食,抗菌薬,プロトンポンプ阻害剤で治療を開始した。第2病日から経静脈栄養を開始した。第7病日のCT画像では縦隔内遊離ガスや液体貯留が残存していたが,第28病日のCT画像では改善が認められ,血液生化学検査でも炎症反応は改善していた。第30病日から第43病日まで瘢痕による食道狭窄予防に対してデキサメサゾンを経静脈的に投与した。第41病日の内視鏡による観察では,食道下位に食道穿孔後と思われる治癒期の潰瘍を認めたが,穿孔の残存はなかったため,経腸栄養を開始した。第73病日から経口摂取を開始し,遅発性の合併症なく第120日に転院となった。アルカリ製剤服用後に時間が経過した症例であっても,縦隔炎が限局している場合は保存的に加療することで救命が可能であると考えられた。

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