Abstract

要旨今回,斜台骨折への陥頓による脳底動脈閉塞を来した症例を経験したので報告する。症例は62歳の男性で,木材の打撲により鈍的頭部外傷を受傷した。来院時のGlasgow coma scale(GCS)は11点であった。初回の頭部computed tomography(以下CT)検査では斜台縦走骨折,前頭部開放性陥没骨折,頭蓋顔面の多発骨折,両側前頭葉脳挫傷,急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血および気脳症を認めた。受傷当日,骨片除去術と開頭血腫除去術が行われ,初回のCT angiography(以下CTA)では斜台骨折への脳底動脈の陥頓が認められた。翌日のCTAでは陥頓した脳底動脈は閉塞していた。受傷5日目のmagnetic resonance imagingでは脳幹梗塞が認められた。その後,受傷7日後に抗血栓治療を開始した。9か月後のGlasgow outcome scaleは3点で,注意障害が残存したが,歩行は自立していた。斜台骨折への脳底動脈陥頓の症例報告は15例しか報告されていない。本外傷の予後は不良だが,早期の抗血栓治療により予後が改善される可能性がある。

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