Abstract

要旨フレイルチェストの治療は,長期の陽圧換気による治療が標準的であるが,長期の陽圧換気は合併症として人工呼吸器関連肺炎,ICU滞在期間の延長などが考えられる。今回我々は,肋骨固定術が入院期間の短縮に有用であった可能性がある1例を経験したので報告する。60歳代の男性。プレス機で体幹部を挟まれ受傷,当院に搬送となった。右第1–12肋骨骨折に伴うフレイルチェスト,右外傷性血気胸の診断で入院となった。入院後は疼痛コントロールと持続的胸腔ドレナージを行っていたが,胸郭の動揺が持続しており,血腫と無気肺の増大を来していたため,第5病日に肋骨固定術を施行した。術後は早期に離床し,大きな合併症なく退院し,その後社会復帰した。本症例では無気肺の増大を契機に手術を行ったが,手術により早期離床が可能となり,長期臥床や人工呼吸器管理,さらに付随する合併症を回避することができた。フレイルチェストに対する早期の肋骨固定術により,入院期間を短縮できた可能性がある1例を経験した。

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