第1肋骨骨折端により生じた遅発性鎖骨下動脈損傷に対して，血管内治療と骨折端摘除を併用した1例(Endovascular therapy and fractured–rib resection for delayed subclavian artery injury caused by a first rib fracture: a case report)

Abstract

要旨 肋骨骨折は血管損傷をしばしば合併しうる。肋骨骨折により生じた鎖骨下動脈損傷に関して，確立された治療方針はない。63歳の男性が乗用車に衝突され受傷し，当院へ救急搬送された。Computed tomography（CT）で右第1肋骨骨折を含む両側多発肋骨骨折を認めた。第12病日，呼吸困難と血圧低下が突然生じた。造影CTで右鎖骨下動脈仮性瘤・右血胸を認め，第1肋骨骨折端により生じた鎖骨下動脈損傷と診断した。ステントグラフト留置により鎖骨下動脈損傷を修復した後，第1肋骨骨折端を摘除した。退院から1年経過した時点で，ステントグラフトの閉塞や，右肩関節の可動域制限を認めていない。第1肋骨骨折端が鎖骨下動脈近傍にある場合，鎖骨下動脈損傷を遅発性に起こす可能性がある。第1肋骨骨折端による鎖骨下動脈損傷に対して，血管内治療と骨折端摘除の併用療法は有用である。