Abstract

要旨鈍的腎茎部損傷(以下,本症)は,多発外傷を伴うことが多く,迅速な治療の選択を迫られる。しかし治療法が確立しているわけではない。自験例を検討し,本症の治療法を考える。沖縄県立中部病院の33年間と,沖縄県立北部病院の27年間に経験した12例に対して,診療録を後方視的に検討した。男女比は男9例,女3例。年齢中央値は31歳(9–58)。受傷機転は交通外傷10例,木材による圧挫傷1例,転落1例。多発外傷は5例で,他臓器損傷は全例に認めた。治療は腎摘6例,再建4例,未治療2例であった。再建腎の腎機能回復例は,1例のみであった。未治療の1例に高血圧を発症した。血液透析を要する症例はなかった。死亡例は2例で,原因は大量出血による凝固障害と敗血症であった。本症の治療では,救命が最優先であり,そのための腎摘や未治療は,許容される。再建群では不完全閉塞型腎動脈損傷の1例に術後腎機能が回復した。完全閉塞型に対する再建の成功率は非常に低いと考える。

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