Abstract

琵琶湖から採取した微生物群による緑藻Staurastrum arctisconの生分解試験を実施し,S. arctisconの細胞質および粘質鞘の生分解性について調べた。粘質鞘を除去したS. arctisconの生分解試験の結果,生分解試験200日後の細胞質POCの残存率は31%であり,初期POCの2-4%がDOCに変換された。一方,粘質鞘を含むS. arctisconの生分解試験では,生分解試験77日以降にDOCが安定し,粘質鞘を除去したS. arctiscon生分解試験との比較から,初期粘質鞘POCのうち29-35%がDOCとして安定して残存したことが示された。また,S. arctisconは粘質鞘から細胞の順番に2段階で分解され,粘質鞘の存在により細胞質の分解が遅延することも明らかとなった。さらに,蛍光標識したレクチンを用いて,S. arctisconの生分解過程における細胞の形態変化を経時観察した結果,Wheat germ agglutinin(WGA)によって染色された粘質鞘は,生分解試験21日後には染色されなくなった。しかし,生分解試験100日後の細胞が粘質鞘を保有していたことから,粘質鞘を構成する糖鎖には,易分解性と難分解性の糖鎖が存在していることが示唆された。以上の結果から,琵琶湖の微生物群で生分解された植物プランクトン由来の細胞質や粘質鞘などは,琵琶湖の粒子態有機物として存在しているだけでなく,溶存有機物の供給源として重要な役割を果たしている可能性が示された。

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