Abstract

機能性成分を豊富に含む食品が,近年注目されている.ヒユ科のビート(Beta vulgaris L.)は,抗酸化成分であるベタレイン色素を豊富に含み,機能性野菜として今後需要が高まると見込まれる.多胚種子のビートは,1粒の種子から多数出芽するため,間引きを行う場合がある.そこで本研究では,春播きのレッドビートにおいて間引き作業の有効性を検討するため,収穫時期および出芽本数の違いが肥大根と地上部の収量,形態および品質に及ぼす影響を調査した.その結果,レッドビートは,同一の栽培期間において,マルチ穴1穴当たりの出芽本数が少ない区ほど,1個体当たりの生育が大きかったものの,肥大根総収量には影響を及ぼさなかった.乾物重100 g当たりのベタレイン含量の値は,マルチ穴1穴当たりの出芽本数が多い適期4本以上区が他区に比べて有意に値が高かった.そのため,レッドビートのマルチ穴1穴当たりの出芽本数は,形態および品質に影響を与えることが明らかとなった.さらに,バイオマスを考慮すると,10 a当たりのベタレイン生産量の推定値は,過熟期3本区が他区に比べて有意に値が高く,ベタレインを最も効率的に得ることができると考える.レッドビートの利用目的に応じ,青果物や加工食品の原料などとして収穫する個体の大きさを重視する場合は多く間引き,化粧品や医薬品の原料などとしてベタレイン含量を重視する場合は少なく間引くことにより,肥大根の大きさおよびベタレイン含量を同じ栽培期間で調節できる.

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