Abstract
カーボンニュートラル実現に向けて,CO2水素化による燃料油合成技術が注目されている。CO2を原料としたフィッシャー・トロプシュ合成にカリウムを添加したコバルト系触媒を用いることで,炭素鎖が成長し液体炭化水素が生成され,同時にメタン生成が抑制されることが報告されている。一方で,カリウム添加による活性変化の詳細は明らかにされていない。本研究では,赤外分光法,X線光電子分光法を用いカリウム添加コバルト触媒の表面状態を分析し,カリウムがもたらす効果を詳細に調査した。カリウム添加によりコバルト表面が還元雰囲気下でも部分的に酸化された状態を維持し,CO2吸着サイトとなる弱塩基点として作用することが明らかになった。カリウム添加コバルト系触媒では,反応ガスのH2/CO2比を1にすると,液相生成物選択率が53 %となった。また,得られた液相生成物には有用化学品原料となり得る1-アルコールや酢酸が含まれていた。
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