コナダニ類の繁殖条件の研究 IV : ケナガコナダニ, ムギコナダニ, サヤアシニクダニの繁殖条件の比較

Abstract

本報においてはケナガコナダニ(T.d.), ムギコナダニ(A.o.), サヤアシニクダニ(G.d.)の繁殖に対する温度および湿度の影響について観察し, その比較検討を試みた.T.d.の最高繁殖数を示す条件は温度75%R.H., 温度25℃であるが, 低湿度もまた高温の場合も増殖せず, 温度および湿度に対する許容性が狭かつた.A.o.の最適条件は湿度85%R.H., 温度30℃であつたが, 低湿度でも, また高湿度であるならば35℃の高温でも充分に生存が可能であり, 温度および温度に対する許容性が広いことを示した.G.d.の最適条件は湿度85%R.H., 温度25℃であつたが, 他の2種に比べると繁殖数が少かつた.さらに以上3種が混合して繁殖していた材料を新しい飼料に接種して, それらの繁殖を各湿度, 温度条件で比較した.この場合原材料はA.o.が優占していたが, 低湿度の場合および高湿度でも25℃, 30℃では接種時と変らずA.o.が優占種であり, とくに30℃では他の種類は姿を消した.高湿度で20℃の場合では, G.d.およびT.d.が優占種となる時期があつた.