救命救急センターにおける小児系救急医専従による効果(Effect of having a specially–appointed pediatric emergency physician at an emergency medical center)

Abstract

要旨【目的】小児集中治療室（pediatric intensive care unit: PICU）が未整備の地域において，1名の小児科経験者が救命救急センターで小児系救急医として専従する前後の小児患者の転帰を比較することにより，小児患者の生命予後改善効果を明らかにすること。【対象と方法】小児系救急医専従前の2007年度から2009年度の3年間（前期）と，専従後の2010年度から2016年度までの7年間（後期）に救命救急センターICUに入室した15歳以下の患者。前期・後期の症例数，月齢，内因・外因別，実死亡率，pediatric index of mortality 2（以下PIM2）を用いて算出した予測死亡率について後方視的検討を行った。【結果】実死亡率は有意差を認めなかったが，予測死亡率が後期で上昇し，有意差を認めた（p<0.001）。後期で内因性症例の割合が増加し，有意差を認めた（p=0.0068）。外因性症例の予測死亡率が後期群で上昇しており，有意差を認めた（p<0.001）。【結語】PICU未整備地域の救命救急センターに，1名の小児系救急医が専従することで，ICU入室小児の生命予後改善に効果があった。重症内因性症例をICUで診療することが可能になり，地域のより重症な外因性症例が選別・搬送されるようになった可能性がある。