Abstract

要旨【目的】重症外傷の病院前選別ではアンダートリアージの減少が予後改善に寄与するとされているが,本邦では病院前の重症外傷選定基準に関する研究は少ない。そこで,受傷機転と生理学的・解剖学的所見による複合的基準が重症外傷のアンダートリアージ減少に関連しているか検証した。【対象】2016年10月からの2年間に横浜市指定4区で発生した外傷患者を対象に,後ろ向き観察研究を行った。現場から搬送され入院あるいは外来死亡した症例の中で,来院時心肺停止を除外し解析を行った。研究期間前半はショックを伴う頸胸腹損傷・両側大腿骨骨折を重症外傷と判定し(基準A),後半は高リスク受傷機転および生理学的・解剖学的異常所見を複合的に用いて判定した(基準B)。基準を満たさず搬送され重症外傷と診断された症例をアンダートリアージとし,各基準のアンダートリアージ率を比較した。【結果】539例の対象症例のうち,基準A運用期間は281例,基準B運用期間は258例であった。年齢や重症度は両期間とも相似していたが,緊急手術は基準B運用期間で多かった。アンダートリアージ率は,基準Aで27.6%,基準Bで18.1%であり,基準Bで有意に低かった(p=0.04)。【結語】外傷患者の搬送プロトコールにおいて,受傷機転,生理学的所見,および解剖学的所見を複合的に用いた重症患者選別基準がアンダートリアージの減少につながることが示唆された。

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