Abstract

要旨【目的】小児頭部外傷に対する大規模CT適応基準は,外傷性脳損傷(TBI)の発見を目的としており,頭蓋骨単独骨折(ISF)は見落とされる可能性がある。このため,本研究では2歳未満児のTBIとISFの危険因子を比較するため検討を行った。【対象】2013–2015年の3年間に頭部外傷で救急受診し,CTが施行された2歳未満児416例を後方視的に検討した。対象症例をTBI群:25例,ISF群:30例,異常所見なし群(以下NAF群):361例の3群に分け特徴を比較した。また多変量解析でTBIとISFの危険因子を検討した。【結果】年齢は,TBI群は0–3か月で,ISF群は6–12か月で,NAF群は12か月以降で多かった。受傷機転は,ISF群で墜落が多く,TBI群では抱っこでの転倒・受傷機転不明が多かった。TBI群・ISF群ともに前頭部以外の皮下血腫がNAF群より多く,径も大きかった。多変量解析では,TBIと関連する因子は低年齢,受傷機転不明,2回以上の嘔吐,痙攣,前頭部以外の皮下血腫であったが,ISFと関連する因子は,経過時間(24時間以降または不明),前頭部以外の皮下血腫,5cm以上の皮下血腫であった。【結語】乳児頭部外傷におけるTBIとISFの危険因子は異なり,大規模基準で低リスクであってもISFを疑う場合は,経過観察もしくはCTが必要である。

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