難治性上部消化管穿孔症例に対する内視鏡的フィブリン接着剤局注療法の応用(Application of endoscopic local injection of fibrin glue to treat refractory perforation cases in the upper digestive tract)

Abstract

要旨内視鏡的止血法の1つとして，フィブリン接着剤（fibrin glue: FG）局注療法が報告されている。今回我々は，難治性上部消化管穿孔例に，FG局注療法を応用し，良好な結果を得た。症例1は79歳の女性。上腹部痛を主訴に救急搬送された。壊疽性胆嚢炎，胆石性膵炎の診断にて消炎後，胆嚢摘出術を施行した。その後，膵炎に合併した仮性膵嚢胞と接する胃体後壁に穿孔を認め，内視鏡的にFG局注療法を施行した。結果，約2週間で同部の閉鎖を見た。症例2は82歳の男性。嘔気と腹痛を主訴に救急搬送された。下部食道の特発性食道破裂の診断のもと，食道破裂部単純閉鎖術を施行した。約1か月後，縫合部の再穿孔を認め，内視鏡的にFG局注療法を施行した。その後，上皮形成を認め，閉鎖した。難治性上部消化管穿孔例に対し，内視鏡的FG局注療法は有用な閉鎖術になりうると考えられた。