重症熱傷における予後予測因子の検討(Analysis of prognostic factors for mortality in severe burn patients)

Abstract

要旨【目的】重症熱傷は致死率の高い疾患であり，初療時に予後を的確に評価することが重要である。今回我々は，重症熱傷患者の在院死亡を予測する因子を後方視的に検討した。【対象】2010年4月から2020年3月の間に，北海道大学病院救急科に入院した成人重症熱傷患者を対象とした。重症熱傷の基準は，① 2度以上熱傷面積25% total body surface area（TBSA）以上，② 3度熱傷面積10%TBSA以上，③ 24時間以上の人工呼吸器管理を要した気道熱傷，のいずれかを満たすものとした。来院時心肺停止および外来死亡例，他院で24時間以上加療された症例は除外した。【結果】52名が参入基準を満たし，生存群が32名，死亡群が20名であった。既知の予後予測指標および搬入時血液検査を基に，在院死亡を予測するreceiver operating characteristic曲線下面積を算出すると，乳酸脱水素酵素（LDH）が0.960と最大で，次いで熱傷予後指数（PBI）が0.913，abbreviated burn severity index（ABSI）が0.898であった。【結語】重症熱傷において，LDHが予後予測に有用であり，カットオフ値を500IU/Lとすることで，在院死亡を予測できる可能性を示した。LDHは測定が簡便かつ客観的であり，他指標と併せて，熱傷の重症度評価の一助となりうる。