Abstract

最高標高が海抜4090m のカメルーン山(口絵 写真 A)は,カメルーン西部に位置し(図 1), キリマンジャロ(5895m)に次ぐアフリカ第二の 高峰である。また,山体南西地域は世界で最も降 水量の多い地域の一つとしても有名である。大規 模な山体における豊富な降水,また,成層火山特 有の地形が相まって,山麓には山体を取り囲むよ うに大規模な湧水群が発達し,地域住民の重要な 水源として利用されている(口絵写真 B)。加え て,山体南西の裾野はギニア湾に大きく張り出す 地形的特徴を有し,大規模な海岸湧水や海底湧水 が観察できる。このように稀有な自然環境にあ り,かつ,学術的に興味深い特徴を有しているに もかかわらず,カメルーン山周辺の湧水群につい ての記述は国内においてほとんど存在しない。 筆者は現地が乾季に相当する2010年 1 月25日か ら 2月 7日にかけてと,雨季に相当する同年10月 15日から30日にかけての 2度にわたり,当時熊本 大学大学院博士後期課程学生であったカメルーン 人国費留学生 Ako Andrew Ako 氏(2008年10月か ら2011年09月末まで熊本大学水文学研究室に在 籍)の研究調査に同行するため現地入りした。 調査では水質,同位体トレーサー(δO,δD, δS),年代トレーサー(CFCs,トリチウム)分 析用試料を採水し,また,これらをラボに持ち 帰った後,データ解析により水質特徴(Ako et al., 2012),流動機構(Ako et al., 2013),水質進化 機構(Ako et al., 2014)を明らかにしてきた。一 方,国際誌に掲載した学術論文では調査地域の自 然の素晴らしさを含め,現場状況やアクセス方法 が十分に紹介できていなかったため,これを紹介 できる機会があれば是非原稿を執筆しようと前向 きに考えていたところであった。 名水を訪ねては,日本国内の湧水や地下水を対 象とし,歴史や名水たる所以と絡めてその水質ま でを紹介する場合が一般的であったが,最近では 諸外国の名水についても紹介されるようになって きた。カメルーン山周辺の湧水群は水源として未 訪 問 記

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