Abstract

要旨化膿性胸鎖関節炎は,胸鎖関節周囲の軟部組織に膿瘍形成を来す疾患で,主に整形外科で扱われるが,敗血症性ショックで救命救急センターに搬入される症例は稀である。今回,外科的介入を含めた集学的治療が必要であった化膿性胸鎖関節炎の1例を経験したので報告する。症例は既往歴にコントロール不良の糖尿病がある49歳の男性。1週間前より左鎖骨痛,その2日後に右肩痛が出現し,徐々に痛みの増悪と意識障害を来し,前医にて敗血症性ショックとなり当院へ救急搬送された。CTでは頸部から胸骨にかけて小さな膿瘍形成を認めた。保存的加療で全身状態の改善が得られ,第9病日には一般病棟へ転床した。その後,炎症反応の再燃があり,第16病日の造影CTで,膿瘍は縦隔に進展し,左前腕部,左膝部,両側大腿骨周囲に膿瘍の形成を認めた。抗菌薬投与に加えて胸腔鏡補助下縦隔ドレナージ術および多発膿瘍に対して開窓術を行い,炎症所見は改善し,第69病日にリハビリ目的に転院となった。頸部領域の膿瘍で胸鎖関節周囲が関与している場合は本疾患を鑑別に挙げ,MRIも踏まえた関節炎・骨髄炎の有無について早期に診断を行い,常に外科的介入を念頭に置いたうえで遅延なく的確に行うことが重要である。

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