Abstract

要旨症例は産後うつ病のある20歳代女性。自宅アパート5階から墜落し,computed tomography(CT)で外傷性くも膜下出血,右下顎骨開放骨折,両側顎関節突起骨折および第1腰椎圧迫骨折と診断された。受傷当日のCTで腹腔内には臓器損傷所見を認めなかったが,翌日のCTで後腹膜に著明な膵液漏を伴う外傷性膵損傷が顕在化した。主膵管損傷を疑い,緊急開腹膵体尾部切除術を施行した。切除標本の病理所見では主膵管損傷を認めず,経過と画像所見から分枝膵管損傷と判断した。主膵管損傷を伴わない膵損傷はnon–operative management(NOM)が推奨されているが,後腹膜へ広がる膵液漏ではNOMが困難な場合がある。とくに精神疾患がある場合や多発外傷では合併する損傷と治療の経過を考慮して,短期間で治療が完了する膵切除術も考慮するべき治療戦略と考える。

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