Abstract

背景 : 卵巣原発の扁平上皮癌はまれで, その発生母地は奇形腫, ブレンナー腫瘍や子宮内膜症などが報告されているが, それらを伴わない純粋型も存在する. われわれは本疾患の 1 例を経験したので報告する.症例 : 51 歳, 女性, 2 経産. 腹部膨満と頻尿を主訴に紹介受診となり, 画像診断にて径約 18 cm の嚢胞部分と充実部分の混在する卵巣腫瘍を認めた. 充実性部分は術中迅速病理にて扁平上皮癌と診断され, 卵巣癌標準手術を施行した. 術後 paclitaxel+carboplatin 療法を施行し, 18 ヵ月間再発を認めていない. 捺印細胞診所見は紡錘形, 長楕円形でライトグリーンあるいはエオジン好性の細胞質を有し, クロマチン増量と軽度の核異型を示す異型扁平上皮細胞がシート状に出現していた. 病理組織学的には著明な角化を示す胞巣を形成する高分化型扁平上皮癌Ia 期 (pT1aN0M0) と診断された. 嚢胞壁の扁平上皮化生が著明であり, 病理組織学的には本腫瘍の組織発生として, 移行像は確認できないものの子宮内膜症が関与している可能性が示唆された. なお, CIN の合併はなく, 腫瘍組織に HPV-DNA は検出されなかった.結論 : 卵巣原発扁平上皮癌は進行癌が多く, 予後不良とされているが, 今回早期癌の症例を経験し, その捺印細胞診を報告した.

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