論文特集「ゼオライトの化学とその応用」 アルカリ土類金属イオン交換ＺＳＭ‐５に吸着した窒素およびメタンの赤外吸収分光法による研究

Abstract

イオン交換法により調製されおアルカリ土類金属イオンZSM-5へのメタンおよび窒素の吸着と, 赤外線吸収特性が検討された。窒素およびメタンの等量吸着熱 (q0at)の吸着量に対する依存性から, イオン半径の小さな陽イオンほど陽イオンと吸着質との相互作用は大きいが, その吸着サイト数はより少なくなっていることが示された。この原因は陽イオンの多様性にあり, とくに, 二価陽イオンの強い分極力により進められる M(OH2)2+→M(OH)++H+ の機構で生成したプロトンサイトのためであることが, 各 ZSM-5 の OH 伸縮振動領域のIRスペクトルから示された。同じことが吸着種のIRスペクトルからも示された。すなわち, N2～MgZSM-5 系における窒素の誘起吸収帯は二つのピークからなり, また, CH4～CaZSM-5系のメタンのν1 吸収帯も二つ以上のピークからなっていた。それらのピーク強度の吸着量に対する依存性は異なり, そのうち一つのピーク位置が HZSM-5系 で得られたものと一致した。二価陽イオンの形成する電場強度を見積ると, 2.5～3.2×105esuとなり, アルカリ金属イオンの場合よりかなり大きくなった。