Abstract
1. スターチス・シヌアータ(Limonium sinuatum Mill.) 'Early Blue'の花穂切片を外植体とし, 4週間の初代培養を20℃ならびに27℃下で行った後, 20℃4週間の発根培養に移し, 器外に植え出して20℃で栽培した.20℃区では67%が抽だいしたのに対し, 27℃区では13%にとどまった.2. 初代培養後, 20℃での4週間の継代培養を繰り返し, 最後に発根培養を行って植え出したところ, 初代培養後ただちに発根培養に移した場合, 抽だい率は67%であったのに対し, 1回継代培養を行うと抽だい率は43%と低くなり, 2回以上継代培養を行うと全く抽だいが観察されなくなった.3. 継代培養中に2℃4週間の低温処理を行い発根培養に移した場合, また発根培養中に同様の低温処理を行った場合, いずれも植え出し後の抽だい率が著しく高くなった.4. 継代培養中に2℃4週間の低温処理を行っても, その後20℃で増殖のための継代培養を繰り返すと, 植え出し後の抽だい率が低下した.5. 以上より, スターチス・シヌアータの培養苗生産においては, 高い培養温度や継代培養の繰り返しが培養苗の開花能力の消失を引き起こす原因となること, 培養中に低温処理を行うことにより培養苗に開花能力を再付与しうることが示された.
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