Abstract

本稿は、語彙本来が持っている意味用法が談話上で特有の意味と機能に発揮される用法を「二次的用法」と設定し、特定の語彙類にあらわれる二次的用法の語用論的機能について考察した。 その結果、副詞類は発話緩和·共感表明·心的強調の3機能に、副助詞類は発話緩和·婉曲表現·親愛表現の3機能に、接続助詞類は発話緩和․発話誘導․発話補充の3機能に分析された。 副詞類、副助詞類、接続助詞類とも共通的に発話緩和機能が認められるが、副詞類は語彙本来の基本意味を失うか、または、共存する形で意識·無意識的に使用される。一方、副助詞類は直接·断定的に提示しないことにより、接続助詞類は省略を通じてその機能が発揮されるなど使用面では異なる様相を見せた。また、副助詞類は発話意図を直接的に示さず、聞き手に選択の余地を与える非直示的用法で発話を緩和する特徴が見られた。接続助詞類は、多くの場合、文末用法でその機能が発揮されており、そこには共話を追求する日本語の対話構造が関与していることを確認した。 このように二次用法は、談話上の状況的文脈の中で発話意味が与えられる、いわゆる対人コミュニケーション機能に重点を置くことにより生じた結果であり、対人関係を調節するための戦略として多様な形でその機能が発揮されていると言えよう。

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