Abstract

近年欧米諸国では, 恋愛結婚, 婚外の性交・出産の排除, 法律婚主義, 性別役割分業という特徴をもつ〈近代結婚〉が, フェミニズム・性解放・子どもや同性愛者の人権の視点から批判される。個人単位化されているスウェーデンでは, 性別役割分業体制否定, 婚姻の有無を基準にしない性モラル, 異性間の同棲関係の制度化, 同性間カップル関係の制度化, 婚外子差別の撤廃, 婚姻外の親子関係の確定および養育責任追及の制度化という, 新しい婚姻制度に変容する。婚姻登録の個人的意義は, 経済面における法的権利の保証, 情緒的きずなの確認・強化にあり, さらにパートナー登録では, 「結婚」としての意味, パートナーの配偶者としての公表, 相手の姓使用の意義が加わる。未来社会では, 婚姻制度が遂行してきた父親確定の機能は, DNA鑑定技術の普及により父親確定制度で代替可能となり, また性愛関係の特権化の機能も親密な関係性の変容により不要になるかもしれない。

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