Abstract

M. 9EMLA台木を用い, 異なる品種における樹の物質生産力を明らかにするため, 6年生'さんさ', '祝', 'ゴールデン・デリシャス', '王林', 'ふじ', '国光'の6品種を用い, 乾物生産量およびその分配率, 樹冠構造について検討した.1. 幹断面積は, '王林'が最も広く, 次いで'ふじ', 'ゴールデン・デリシャス', '国光', '祝', 'さんさ'の順であった.葉面積および植栽面積当たりのLAIも品種間に差があり, 一番大きい'ゴールデン・デリシャス'と小さい'さんさ'との間に1.8倍の差があった.春季幹周と1樹当たりの葉面積との間に正の相関関係(r=0.780)があった.2. 乾物生産量は, 'ふじ'が一番大きく, 次いで'ゴールデン・デリシャス', '王林', '祝', '国光', 'さんさ'の順であった.また, 果実乾物重は, 'ふじ'で一番大きく, 一番小さい'祝'の2.7倍であった.3. 葉の乾物生産能は, 'ふじ'が最も高く, 次いで'王林', '国光', 'ゴールデン・デリシャス', 'さんさ', '祝'の順であり, 'ふじ'と'祝'の間には1.4倍の差があった.乾物生産量/葉面積の値は, 'ふじ'が最も高く, 次いで'王林', 'ゴールデン・デリシャス', 'さんさ', '国光', '祝'の順であり, 'ふじ'と'祝'の間に2.5倍の差があった.4. 春の幹周と乾物生産量(r=0.861)または幹周と果実乾物重(r=0.866)の間に正の相関関係があった.5. 乾物生産量と果実乾物重の間には正の相関関係(r=0.894)があり, 葉の乾物生産能と果実乾物重を葉乾物重で除した値も正の相関関係(r=0.911)があった.6. 各器官への分配率は, 果実は'ふじ', '王林'で30∿35%が分配され, '祝'では17%しか分配されなかった.新梢は'祝'で高く'王林'で低かった.7. 高さごとの乾物重の分布は, 各品種とも50cmから200cmまでの範囲に多く分布した.器官別では, 果実は50∿250cm間に多く分布し, 枝幹部では, 新梢は樹冠の上部ほど, 旧枝は樹冠の下部ほど多く分布した.8. 葉面積の分布は, 'さんさ', '祝', '国光'では100∿150cmの間に, また, 'ゴールデン・デリシャス', '王林', は100∿200cm間, 'ふじ'は100∿250cmの間に多く分布した.SLWの値は, 全品種とも樹冠の上部ほど大きかった.相対光量子量の分布は, 樹冠の0∿100cm間は'さんさ'は他の品種よりも高い傾向にあり, 100cm∿250cm間は, 'さんさ'が最も高く, '祝', '国光'も他の3品種よりも高かった.以上のことから, リンゴの台木としてM9EMLAを用いた場合, 樹の乾物生産量, 器官別分配率および樹冠構造については品種間に差異のあることが明らかになった.また, 春の幹周と樹の乾物生産量・果実乾物重との関係, 乾物生産量と果実乾物重との関係, 葉の乾物生産能と果実乾物重を葉乾物重で除した値との関係は, 6品種を込みにした場合においても, 有意な正の相関関係があることが明らかになった.

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