Abstract

滋賀県における遺跡花粉データベースを用いて,地域・局所スケールでの植生変遷の復元を行った.滋賀県では,60遺跡において891層準の遺跡花粉データが存在していた.遺跡花粉データベースについて集成をした結果,地域スケールでは縄文時代中期以降には,アカガシ亜属を中心とした照葉樹林が優勢であり,縄文時代後期になるとスギも増加したことが示された.弥生以降には,マツ属花粉とイネ科花粉が増加しはじめるものの,それまで優勢であったアカガシ亜属花粉やスギ花粉も依然として高率で出現を続けた.しかし,中世以降には大きく花粉組成が変化し,マツ属花粉の顕著な増加が認められた.遺跡ごとの花粉出現率の時空間分布は,各遺跡近隣での植生景観を反映しており,集落生態系や人々の植物資源利用形態の違いを明らかにできる可能性がある.

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