Abstract
1990年代以降,アメリカ産の生鮮ブロッコリーの輸入量増減下で,生産規模を維持させている国内産地がどのような生産・流通システムを形成しているのか,本研究では,埼玉県深谷市(旧岡部町)榛沢地区を管轄する榛沢農協の取り組みを事例に明らかにした。 当地区のブロッコリー栽培は,1970年代末から農協主導によって品種開発や播種から定植作業の機械化を図ってきた。その結果,1980年代から1990年代初頭にかけて当地区のブロッコリー作付面積が増加した。また,真空予冷による鮮度保持と出荷量を調整する出荷申告制度の導入,ブランド化を図ることで,計画的な生産・流通システムを構築してきた。1990年代以降は,輸入ブロッコリーの増加に対抗するために期間限定の予約販売を行っている。2000年代初頭のアメリカ産の輸入量の減少に対して,日本各地のブロッコリー作付面積は増加したが,当地区では農家の労働力配分と所有農地の制約から作付面積の増加はほとんどみられなかった。その代わりに,2000年代は生産履歴記帳の開始やエコファーマー認定の取得といった出荷量の維持と品質向上に取り組んでいる。そして,近年では出荷先市場数を絞り込み,大消費地である京浜市場を中心に大量出荷している。このように,ブロッコリー輸入量の変動と産地の現状に合わせた農協とその共販組織の事業展開によって,産地を維持させている。
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