Abstract
熟期が寒候期にあたるナツミカン, ハッサク等の中晩生カンキツは凍害を受けると, 苦味が発生し, (7,9,10, 11,12), 著しく商品価値の低下を招く場合がある.したがって今後の中晩生カンキツの新品種に付与すべき形質として, 凍害を受けても苦味の発生しないことも重要な要件である.カンキツでは, 交雑実生の果実が結実するのに約10年前後, 高接ぎして結果促進した場合でも3年を必要とし (16), 果実の形質については果実が結実するまで不明である. 果実の苦味成分 (フラバノン•ネオヘスペリドシド) においても, 未結実の実生の葉抽出物で, まだ結実していない果実のフラバノン•ネオヘスペリドシドの有無の予測ができれば, この点に関する育種の効率化が図られる.そこで, 果実と葉のフラバノン•グリコシド (無味のフラバノン•ルチノシドと苦味のあるフラバノン•ネオヘスペリドシドに属する物質群) の組成の対応関係を調査し, 果実のフラバノン•ネオヘスペリドシドの有無の早期検定の可能性を検討した.カンキツ果汁のフラバノン•グリコシドの分別定量法として液体クロマトグラフィー法 (HPLC法) がすぐれた方法であることは, Fisher•Wheaton (6) や松本ら(9, 10) の報告がある. しかし, HPLC法では1点の分析に約20分を要し, 1日に20点の分析ができれば上々であり, 遺伝解析や幼苗検定のため, 多数の試料を扱うには問題がある. 今後, 育種の効率化を一層図るためには, HPLC法以上に, 迅速かつ簡便な操作で, 大量サンプルが一度に扱える方法の導入が必要である.その方法として抗原抗体反応を利用した酵素免疫測定法 (ELISA法) を取り上げた
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