Abstract

クリソタイルを含む蛇紋岩を対象に, 偏光顕微鏡によるモード測定法と粉末X線回折法を用いてクリソタイルの含有量を, 位相差・分散顕微鏡法を用いてアスベストの含有量を計測し, 測定結果の比較, 検討を行った. 一般的な蛇紋岩は, クリソタイルを多く含有するものでも, 試料を粉砕するとクリソタイルが破片状に破砕され, 元々繊維状を示していたクリソタイルがアスベストとしての形態を示さなくなるものが多いことがわかった. したがって, 通常の蛇紋岩を粉砕した際の周辺空気中のアスベスト繊維数濃度は, 作業環境基準値を下回ることが多いものと推定された. しかし, 花崗岩質貫入岩体近傍に位置するアスベスト鉱山のクリソタイルからなる直交繊維脈状蛇紋石は, 粉砕するとアスベストの形態を示し, 作業環境濃度の基準値を上回ることが確認された. 以上のことは, クリソタイルには結晶度の高いものから低いものまで, 種々のものがあることを示唆している. また, 蛇紋岩を粉砕する際に湿潤状態に置きドラフトを用いて吸引すると, アスベストの周辺への飛散量は大きく抑制できた.

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