Abstract

ブロッコリー花らいより調製した粗酵素液(APE)中に, 可溶性のピロフェオフォルビドaを開環する酵素が存在することを明らかにした.この酵素反応には, H2O2とp-クマル酸が必要で, 至適pHは, 酢酸緩衝液で5.0であり, タンパク質量に対する反応量は直線的で, ピロフェオフォルビドaに対するKm値はほぼ10.6μM, p-クマル酸に対して382μM, H2O2に対して352μMであった.この酵素反応は, アスコルビン酸, ヒドロキノン, n-プロピルガレート, チロン, シアン化カリウムにより阻害されることから, フリーラジカルとヘム鉄含有酵素が関与していることが明らかとなった.また, 反応液のUV/VISの差スペクトル変化において, 赤色領域のピークおよびソーレー帯のピークが同時に減少していることからクロロフィルーポルフィリン環の開裂を起こし, 分解していくことが明らかになった.これらの結果より, ブロッコリー花らいの可溶性のピロフェオフォルビドa開環酵素はペルオキシダーゼのアイソザイムの一つであると推察された.これらの結果より, ブロッコリー花らいにおけるピロフェオフォルビドaの代謝過程において, ピロフェオフォルビドaの酸化的ペルオキシダーゼ触媒による酸化開裂反応系が関与していることが示唆された.さらに, ブロッコリー花らいにおけるエチレン誘導のクロロフィル代謝について考察した.

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