Abstract

1982年及び1986年の両年度に, 京都市内の某栄養専門学校に在学する学生 (栄養士科, 1・2年生) の父親それぞれ194人, 163人について, 栄養摂取状況調査を実施し, 職業群別に4年間における変化を中心に検討し, 次の結果を得た。1) 全対象者については, 両年度ともにカルシウムの摂取量は所要量を充足しておらず, また両年度のビタミンB2と1982年のビタミンAは調理による損失を考慮すると充足されない状態であったが, その他の栄養素は充足されていた。2) ライフスタイルの異なるA群 (管理職I群: 従業員数30人以上の会社・団体・公的機関等の社長・重役・部長以上, 及び医師) とB群 (その他の群) を比較すると, 1982年のA群では肉類をより多く摂取し, また動物性たん白質, 動物性脂肪をより多く摂取しており, 肥満者が多かった。3) 4年後は, A群の肉食傾向及び肥満傾向は認められなくなるとともに, 緑黄色野菜類を比較的多く摂取するようになり, ビタミンB1も有意に多く摂取していた。4) 両年度を通じて他の職業と比較してより多く摂取していた食品群の主なものは, 農林漁業群では米・魚介類・淡色野菜類, 商工サービス業ではアルコール飲料, 専門技術職では豆類・果実類, 管理職では緑黄色野菜類, 事務職では肉類であり, 労務職ではより多く摂取していた食品群はなかった。5) 4年後において有意に多く摂取された栄養素等は, ビタミンA (管理職, 事務職) のみであった。有意に少なくなった栄養素等は, 食塩 (農林漁業, 管理職, 事務職), 糖質 (商工サービス業), 鉄 (専門技術職), ビタミンC (専門技術職) であり, 労務職では有意な変化はみられなかった。1982年から4年間の社会情勢の変化により, 成人病の現れ始める中年対象者は, 自らの食生活を見直し, 改善の方向へ変化しつつあると考えられる。それは食塩の摂取量が減少し, 緑黄色野菜類を多くとるようになり, A群の肥満が認められなくなったこと等により理解されよう。しかし, 本対象集団においても, カルシウム不足の問題などを克服するために, きめ細かな食生活指導が望まれている。

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