Abstract

要旨:拡張型心筋症に対する左室形成術において、心機能を温存する目的で心拍動下体外循環が実施された症例(B群:24例)と心停止下で行われた症例(A群:30例)の術後の心筋酵素の変動を比較し、心拍動下体外循環の効果を検討した。体外循環は上行大動脈送血、上・下大静脈2本脱血、大動脈および左房ベントを挿入し、灌流指数2.5L/min/m2、膀胱温35℃、ヘモグロビン値8.0g/dLを目標とした。また、B群は大動脈遮断をせずに心拍動下体外循環として行った。B群ではA群と比較して、若年で(p=0.0016)術前LVDd値が高値(p=0.0351)であった。体外循環に関しては時間が短く(p=0.0377)、体温が高かった(p=0.0004)。術後のCKおよびCK-MB値はB群で高い傾向が認められたが有意差は認められなかった。指標とした心筋酵素は心拍動下体外循環で高い傾向があり、本法の心筋障害防止効果は実証できなかった。今後、患者背景(特に術前の心筋障害の程度)や心筋障害の指標などを考慮し、さらに検討が必要と考えられた。

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