肝細胞癌におけるマイクロウェーブ照射抗原賦活法によるｐ５３免疫組織化学染色の有用性 生物学的悪性度およびアポトーシスとの関連

Abstract

肝細胞癌(HCC)切除48例のホルマリン固定標本を対象として,マイクロウェーブ照射による抗原賦活後のp53免疫染色の有用性について検討した.結果は,本法により良好な染色性が得られ,12例(25%)が染色陽性例,内8例は強陽性例であった.染色陽性例は全例腫瘍径が2cm以上の進行例であり,染色陽性例率は多結節癒合型と組織学的分化度の中分化・低分化型で有意に高値であった(p<0.05).さらに,染色強陽性例率はHCV抗体,門脈腫瘍栓陽性群やPCNA標識率40%以上群で有意に高値であった(p<0.05).また,p53染色陽性細胞が少数,散在性の26例中22例(84.6%)において,アポトーシス関連抗LeY抗体染色陽性細胞とこのp53染色陽性細胞とは,同一あるいは近傍の関係であった.以上から,p53の染色性は本法により向上し,このp53の免疫染色上の発現はHCCの生物学的悪性度指標になりうると思われた.また,p53がアポトーシスに関与している可能性が免疫組織化学的に示唆された.