婦人科がん周術期における術後抗凝固療法の症候性肺血栓塞栓症予防に関する検討―静脈血栓塞栓症高リスク患者における検討―

Abstract

婦人科悪性腫瘍手術における静脈血栓塞栓症（venous thromboembolism：VTE）発症の高リスク患者に対する術後抗凝固療法の有用性について後方視的に検討した．対象は婦人科悪性腫瘍手術を行った高リスク患者167例．VTE予防として間欠的空気圧迫法（intermittent pneumatic compression：IPC）を単独で使用した群（IPC単独群，82例）と，IPCに加え術後に抗凝固薬を使用した群（IPC＋抗凝固療法群，85例）で症候性肺血栓塞栓症（pulmonary thromboembolism：PTE）発症率を後方視的に検討した．症候性PTEの発症率はIPC単独群で5/82（6.1％），IPC＋抗凝固療法群で2/85（2.4％）と，両群間で統計学的に有意差はなかったが，IPC＋抗凝固療法群で低下傾向を示した．PTE発症は術後1～2日目に多く，術前または術後早期の抗凝固薬の投与とIPCの併用により PTE発症率が低下する可能性がある．