Abstract

要旨新型コロナウイルス感染症蔓延下において脳死下臓器提供数が減少しているなかで,脳死判定を目的とした転院搬送の是非に関する議論が始まっている。これをふまえ,全国救命センターにおけるコロナ禍での脳死判定や脳死下臓器移植に関わる現状と問題点を調査した。全国救命センター295施設に質問紙URLを送付し電子的に回収した。調査項目は施設背景,臓器提供の意思決定に関する質問,臓器提供も見据えた患者管理,脳死判定,臓器提供手術の問題点に関する質問,臓器提供を目的とした転院に関する質問とした。220施設より回答を得た(回答率74.6%)。コロナ禍において臓器提供を施行した施設は45施設(20.5%)存在した。臓器提供を行った施設とそうでなかった施設において,休日夜間帯に勤務をしている専門医数に差が見られた(平均3.04人 対 2.44人)。また,コロナ禍によって臓器提供に関する事項が影響を受けたと回答した施設は全国救命センターの43施設(19.6%)に及び,患者個室管理,家族の面会制限,チームの参集困難など,感染対策による影響と回答した施設がうち39施設(90.7%)に見られた。「脳死下臓器提供」を目的とした転院に関し,他施設に転送したいと回答した施設群(60施設:27%)は,院内連携が手薄く,マンパワーが少なく,また,脳死判定医が少ないこと,脳死判定の費用に関わる経済的問題に要因があると思われた。本研究によりコロナ禍における脳死下臓器提供に関わるハード,ソフト両面の課題が明確になった。とくに施設におけるマンパワー拡充のための施設間連携と経済的支援の拡充が今後の課題であると思われた。

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