Abstract

近年, 頭部外傷の分野で, 国内外においてトピックとなっているのが, 受傷から数年以上のインターバルを経て出現する遅発性の症候である。本総説では, 頭部外傷後にみられる代表的な遅発性病態である慢性外傷性脳症 (CTE) と頭部外傷後精神病 (PDFTBI) について解説する。CTE は, ボクシングやアメリカンフットボールなど反復性軽度頭部外傷を受けた個体にみられる進行性の神経変性疾患であり, 精神症状, 認知機能低下やパーキンソニズムなどが出現する。神経病理学的には神経原線維変化などのタウ病変によって特徴付けられる。一方, PDFTBI は, 重度の頭部外傷から数年後に出現する精神病状態であるが, 詳しい病態はわかっていない。近年, PET によってタウ病変やアミロイド病変の検出が可能となりつつあり, 頭部外傷による遅発性病態の生前診断や背景病理の評価が可能となると期待されている。本総説では, 我々が行っている頭部外傷患者を対象としたタウイメージング研究の結果についても紹介する。

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