Abstract

1.ラインセンサス法の欠点を補う手法として,プロットセンサス法について特にラインセンサス法の結果と比較しながら調査分析し,有効な適用手法を検討した。2.1区画1haのプロットセンサスの全種合計の記録個体数の日周変化は,どの調査分数でも日の出から10時頃までは各々一定のレベルを保ち,以降減少した。このパターンは多くの鳥種でもほぼ同様であった。3.1区画1haの全種合計の記録個体数は,調査分数の延長に伴い,一定の増加パターンを示した。しかし分数の増加の割には記録数は多くならない。このパターンは多くの鳥種で類似していた。4.センサス調査に馴れ視聴力が平均レベル以上の観察者の場合,プロットセンサスによる全種合計記録個体数に有意差はなかった。また鳥種別記録個体数も大きな差はなかった。5.プロットセンサスの全種合計記録個体数Pは,ラインセンサス1時間15ha当たり記録数nと良い相関があった。この関係は鳥種別にも当てはまる可能性が示された。6.半径50mの円形区画の全種合計記録個体数Pmは,どの調査分数でも1haの正方形区画のものより,15%低い値を示した。7.ラインセンサス記録数nと15ha当たり全種合計生息個体数Dの間には相関があるので,プロットセンサス記録数PmからDが推定できることになる。例えば10分間プロットセンサスの全種合計記録個体数をP10とすると,D=17.89P10+4.29となる。8.鳥種iの15ha当たり生息密度Diは,ラインセンサス記録率Ei(なわばり当たり記録効率)と,鳥種iの半径50m円形プロットセンサス記録数Pmiを用いて推定できる可能性を示した。例えば10分間プロットセンサスでは,Di=(7.31P10i+6.29)•200/Eiとなる。9.プロットセンサスは良い天候の日の日の出から10時頃の間に,半径50mの円形区画で2~5分間実施するのが適当と思われた。必要プロット数は20~30haの林地の鳥類群集全体を対象とした場合,10~15個で良いと考えられた。10.プロットセンサスは,鳥種別の密度推定に用いるのはまだ問題が残るが,マクロな鳥類群集の密度,優占種構成を把むのには適していると考えられた。

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