Abstract

1.チャバネアオカメムシ,ツヤアオカメムシのヒノキ毬果での寄生密度,常緑広葉樹林の落葉層での越冬密度および予察灯による誘殺数について,佐賀県内を11調査地区に分けて調査した。2.ヒノキ毬果での寄生密度調査は1974年から1986年まで毎年7月下旬~8月(一部は9月中旬)に行った。その結果,採集された全カメムシに対する割合は,チャバネアオカメムシの成虫が約24%,幼虫が66%,ツヤアオカメムシの成虫が約2%,幼虫が約7%でチャバネアオカメムシが約90%を占めていた。寄生密度は年次による差が大きく,調査した13ケ年のうち多発生は5ケ年,中発生は3ケ年,少発生は5ケ年であった。同一年での寄生密度の地区間差は小さかったが,鹿島・太良,小城,相知・厳木,神埼では発生が多く,伊万里,上場では少なかった。3.チャバネアオカメムシの越冬密度調査は1981年から1986年まで毎年2月に行った。越冬密度は1984年は低かったが,他の年はほぼ同じであった。同一年の密度の地区間のバラツキは平均密度が高かった年に大きくなった。地区別では唐津・浜玉,大和で越冬密度が高かった。毎年越冬がみられた地区は鹿島・太良,大和で,逆に多久,相知・厳木では1985年のみ越冬がみられ,越冬密度は地区による差が大きかった。4.予察灯(ブラックライト,20W)による調査は1981年から1986年まで4~5地区で行った。各地区ともチャバネアオカメムシが大半を占め,とくに基山,伊万里では95%以上であった。誘殺数は1981年,1982年が少なく,1983年,1985年,1986年は多く,1984年は中程度であったが,1985年は基山,神埼では著しく多かった。誘殺数の時期別割合は年により,地区によってちがいがみられたが,大まかには8月以後の誘殺数が多く,その割合はチャバネアオカメムシでは約90%,ツヤアオカメムシでは約70%であった。1985年,1986年の2ケ年の誘殺結果では,基山,神埼での誘殺数が他の地区にくらべて著しく多く,逆に大和,伊万里では少なかった。5.越冬密度,予察灯での誘殺数 果樹園周囲のヒノキ毬果での寄生密度,ヒノキ人工林での毬果量,次年の越冬密度について相互の相関係数を求めた。このうち,当年の越冬密度と予察による5~7月および5~10月の誘殺数,5~7月の誘殺数とヒノキでの寄生密度との間には比較的高い正の相関が得られ,逆にヒノキ毬果量と5~7月の誘殺数およびヒノキでの寄生密度,5~7月の誘殺数と次年の越冬密度との間には比較的高い負の相関が得られた。他方,予察灯での5~7月と8~10月の誘殺数の間の相関はほとんどなかった。

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