Abstract

ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維は前駆体PAN系繊維を酸化し,ついで炭素化して得る事ができる。この前駆体繊維の酸化条件は炭素繊維の性能と生産性にとって重要である。本報告では,アクリル酸ナトリウム(SA),アクリルアミド(AAm),アクリル酸メチル(MA)を各2wt%共重合したPAN系共重合繊維および酸化時の雰囲気中の酸素濃度の炭素繊維の性能及び生産性,とくに,酸化時間の短縮化への効果を検討した。繊維を230~265℃の酸素濃度の異なる雰囲気中,定長で酸化し,酸化過程における繊維の収縮応力挙動,酸化の指標としての安定化度(SI:Stabilization Index),繊維の結合酸素量および1000℃で得た炭素繊維の強度を測定し評価した。加熱過程における繊維の収縮応力に対するその応力値の時点から繊維を冷却して約180℃に低下した時点の収縮応力の百分率として求めたSIは酸化繊維の適正化のための指標として有効である事を認めた。また,炭素繊維とするための酸化繊維を短時間の酸化時間で得るには,SA共重合繊維を窒素と酸素から構成した酸素濃度50%の雰囲気中で二段酸化することによって約35分の酸化時間にまで短縮できた。

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