Abstract

CEA, CA 19-9は, 本来, 大腸癌関連抗原として発見されたものであるが, 現在では消化器系をはじめとする腫瘍マーカーとして臨床上広く応用されている.一方, 大腸腺腫の大腸癌発生における意義に関しては議論の多い所であるが, 組織学的には幅広いスペクトラムの異型上皮巣からなる腫瘍であり, そこにおけるCEA, CA 19-9の発現性に関しては興味のあるところである.そこで, 今回169個の大腸ポリープを対象とし, このうち腺腫内癌30症例において酵素抗体法によりCEA, CA 19-9免疫染色を行い, 腺腫内腺管の異型度とこれら抗原の組織局在性との相関について検討するとともに, 全例にHID-AB, PAS染色を行い, 腺腫内粘液の性状の検討を行った.この結果, CEAはCA 19-9に比べ各異型度毎に一様性をもった染色性を示し, 異型度の増加につれてその局在性のGradeも上昇する傾向が認められた.しかし, 高度異型腺管と癌腺管との問には差が認められなかった.反面, この局在性から異型度を同定することは不可能と考えられた.また粘液性状と異型度との問には一定の傾向は認められず, 異型度の増加につれて粘液の著明な枯渇化を認めた.CEAの染色性からみるかぎり, 高度異型腺管と癌腺管とは近似する性格を有するものと考えられた.

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